イタリアに来てもう4年目。
初めて来たときは憧れと恐怖で訳が分からなかったけど、
今はイタリアにまた帰ってきたっていう感じ。
見慣れてきたミラノ中央駅前の景色は今も変わらないけど、
イタリアに対する思いや求める形はだいぶ変わりました。
かるく振り返ります。
思い描くテーマはパニナロ、マリーナ、そしてスケート。
中央駅前のスケーターチーム。
前より人数増えてる。通行人の邪魔はしない。
フランクロイドライトが世界で最も美しい駅と称した建築。
ミラノのリアルスケートシーン。ドラマティックな共生。
ミラノは15店くらい回った。
こんなにつまらなかったっけ。
目当てのSTONE ISLAND。まったくない。
市内からだいぶ離れた店に数点。今度は高くて買えない。
石畳をクッションのない自転車で走る。
振動でケータイを落とし、画面を割る。
なんだかじわじわ怖い。
バックストリート、哀愁の帰り道。
独断で選んだルート、無人駅で行き詰る。
駅前にバス停と電話ボックス。水すら買えない。
のんびりしたローカルたちの視線。
なんだか腹立つ。自分に。
2時間待って電車で10分のターミナル駅に戻る。
そこからタクシーで5000円。
イタリアタクシーあるある。わざと道間違える。
メーターは外人用。やることのレベルが低い。
やっとたどり着いた卸。裏目しか出ない。
初めて訪れた北の街、トリノ。
ボローニャに似てる。色や人のテンションはもっと落ち着いてる。
知らない通りを歩き、知らない人とすれ違う。
今イタリアにいる。そんな気分。
駅のジェラテリアで初めてのマンゴー味。
汗が一気にひく感覚。レモンは降格だな。
仕事抜きに楽しい一日。こういうのがないと続かない。
1年ぶりのボローニャ。
良いマーケットがあるって聞いてきたけどウソじゃないかー。
ただ眩しい、暑い。屋台で水を買う。
「タバコ頂戴よ」 酒か薬か乱れた格好の女が寄ってくる。
しつこいので一本渡すと、ほっぺにキスしようとしてきて
避けてる合間にレールパスをスラれる(後でいらんと返された)。
ランチのパスタはボウルがプラスチック。
ツーリストがあまりにも多い。色々あってテンションが下がる。
街も回る気になれず、すぐ帰った。
後半は南イタリア。
ローマを経由してナポリへ。
ミラノ、05:30。
いつも通りギリギリで階段を駆け上る。
パン2つと水買って電車に駆け込む。
朝の明けきってない時間が一番あがるかも。
ビジネスマンと肩を並べる。なんだか誇らしい。
錯覚でもあえて身を任せるのも大事。
ナポリ。11時のday&night。
常に時間に追われながら無我夢中で服を見る。
夜はいつものレストラン、物々しい駅前を歩く。
B&Bのテラスからこんな景色。Nightshift聴きたくなった。
辛い前半戦を忘れてまた新しい気持ち。なんとかなるでしょ。
ポジティブなフィーリング、背中を押す街の空気。
たぶん自分はこの街と相性良い気がする。
天高の駅はなぜかカメラを構えたくなる。(iPhoneだけど)
将来は天窓のある家に住んで、天窓のある店を作りたいな。
Bigettelia、Treni、Uscita。見慣れてきたイタリア語。
ただ会話は訳わからん。3カ月のイタリア語講座じゃこんなもんか。
サヨナラトリノ、サヨナラナポリ。
いい思い出ができた街は、離れるのがやっぱり寂しい。
トリノの街角(しつこい)。
贅沢にスペースを使った瀟洒な古着屋に入るも、
道楽的な甘いセレクトでがっかりの帰り道。
黄色い壁に太陽が庇を通して書くメッセージ。
「もっと、もっと、もっと・・・」
ラックを繰りながらブツブツ言う自分。
イタリア最終日はいつもミラノ。
お客さんから聞いた台湾料理屋で夕飯を食べて、
(お気に入りです、ありがとうございます)
リナシェンテでお土産買って、
メトロは使わず自転車でホテルに帰る。
仕事以外あんまりやり方は変えない。
今回は車がビュンビュン走る道。案の定ビービー鳴らされる。
グーグルマップはたまにひどい。
少しだけ仕入れの合間に撮った服も載せます。
88-89'S STONE ISLAND、TELA STELLA。
オスティのSTONE ISLANDを象徴するテラレンジ。
リバーシブルのブルゾンタイプ。
ヴィンテージのようなデザインとテクニカルなファブリック。
一見大味なルックスの背景にある地道な実験と研究。
掴みきれないオスティ、STONE ISLANDの魅力。
1987 STONE ISLANDウォッシュデニム。
トップにキャラクター、ウエイトを置くSTONE ISLAND。
ボトムはきわめてオーソドックス。
ファッションではなくスポーツウェアのバランス。
ムラが少なく、サイド内縫いですっきりしたルックス。
スタイルに夏を映し出す一つの青い照明。
1985 STONE ISLAND ボディウォーマー。
STONE ISLAND立ち上げが1982なのでだいぶ若い。
STONE ISLANDの原型でもある、ミリタリー/ワークウェアを
ベースにしたことがはっきり分かるデザイン。
STONE ISLANDが実用服と異なるのは、タフな部分だけでなく
繊細で脆い部分も共生していること。単純なコピーじゃない。
つい最近リバイバルされたイタリアンレーベル、Best Company。
イタリアンユース、Paninaro(パニナロ)のユニフォーム。
パニナロはearly 80'sにミラノで生まれたサブカルチャー。
イギリスでいえばモッズやパンクス的な、イタリアのストリートトライブ。
ただ違うのは、イギリスのように窮屈な生活からグレてしまった若者ではなく、
彼らは不自由のないアッパークラスの家庭に育っている。
パニーニというファストフードから名が付いた通り、リーガノミクスや
サッチャリズムに煽られた消費主義のイタリアンアイコン。
彼らが何よりウエイトを置いたファッション。そのベースとなったのが
MONCLER、Schott、Levi's、Timberland、Sebago、Burlington、
自国でいえばSTONE ISLAND、C.P. Company、ARMANI JEANS、
AMERICANINO、RIFLE、THINK PINK、そしてこのBest Company。
これはBCの代表的デザイン。リバイバルも同じデザイン。
だらだら書いてもなかなか伝わらないのでソース載せます。
ダサい。それがまともな感覚。
高いモンクレール買って、ヴィンテージ加工のデニムを履き、
ファッションにプライオリティを置く人にとってはアンタッチャブルな、
お金はあるけど服を知らないダッズみたいなダサさ。
目をつぶって服を選んでも失敗しない今だからこそ、
こんなパニナロ先輩たちの崖っぷちすれすれ、
なんならもう落ちてるかもしれない、
悪い意味で人が振り返る危うさ。
これこそ今追っかけるイタリアだなと思う。
Uncool is the new cool.
そしてストリートトライブ。
今回追っかけた大枠のテーマが重なったパニナロ。
チャレンジングな提案なのは百も承知ですが、
確かなバックグラウンドのあるストーリーです。
ラルフローレンみたいなBest Company。
抑えるところを抑えているのが逆にBCらしくない。
まだまだ知らないO.カレッティの世界。
今回のBCほとんど限られたディーラーから。
同じスウェットで比べたらSTONE ISLANDより高いステータス設定。
ほぼイタリア人とイギリス人だけが共有する価値。こんなにダサいのに。
THINK PINKのスペルアウト。
ルックは見たことないけど、きっとモデルは笑顔。
イタリアのレーベルなのに、ヨセミテ国立公園生まれを騙る、
イタリアらしいbogusなアメリカ気取り。微笑ましい。
初めてイタリアに来てこのレーベルを知って以来
頭のどこかでずっと引きづってきたけど、今はもうはっきりと夢中。
ディーラーにもTHINK PINKないか?って聞いて
はあ?って顔される。画像見せてやっと通じる。
たぶん探している日本人は自分だけだと思う。
画像はないけどここのイージーパンツはとても良いです。
SUPERGA PUMPS IT UP。
リネンとポリウレタンのブレンド。
カフスとフードのリフレクティブテープ。
ブリムピークはクリアビニール。
less is more philosophyをテックウェアに応用。
おそらく2001。手にした時、顔が熱くなった。
80's、DIESEL。
ワークウェアとセーリングギアが絡み合うようなデザイン。
イタリアのスポーツウェアに潜在する複数のエレメントを
この一着は分かりやすく表面化していると思う。
その潜在的テーマの一つが「航海」。
登山ベースのデザインが多いアメリカや日本とはかけ離れている。
TOMMYやNAUTICAって例外もあるけど、イタリアはこれがデフォルト。
高視認のブライトカラー、ストリングやコンシールフード、
yachtやboat、sailingのスペルアウト。
STONE ISLANDのコンパス、C.P.COMPANYのセーラーもそう。
イタリアはやっぱり海、海、海。
イタリアのスポーツウェア。
今回一番テンションの上がったディグ。
注意深く見ていくと、ブライトカラーやストリング、
スペルアウトの他にもいくつか共通点が見えてくる。
ホワイトステッチ、3Dポケット、プラパーツ、
メッシュライニング、大ぶりなハードウェア。
クラブギアのようなレイヴィーなデザインエレメント。
それがもう一つの潜在的なテーマ。
マリンギアというdaywearとクラブギアというnightwear。
一見まったく結びつかない不思議な繫がりは新しい可能性。
見たことのないイタリアのスポーツウェアによって、
どこにもないスタイルを作っていけたらと思っています。
単純にダサい服ならいくらでもある。
でもそれだけじゃ薄っぺらい。
ダサいだけで終わらない確かなバックグラウンドと、
自分なりに探したイタリアの新しい可能性とで
テーマをバックアップしていきます。
画像から言ってる意味を多少なりとも汲んでもらえたら。
他にもいくつか面白い共通点。後でまたブログにあげます。
INVICTAのバックパック。
INVICTAもパニナロギアの一つ。
デッドストックで沢山あったけど、買わない選択。
少しの後悔と次回への課題。
可能性はいくらでもある。
CHANELのモデルに職安のモザイク。
イタリアはこれで終わりです。
三日三晩洗濯しながら書きました。
とりとめないですが、読んでいただいてありがとうございます。
来週はUKスケートギアについて。たぶん。
dramatic clothes
Leather and Lace