"beat up(ボロ)"。
現地の人が使うその言葉の響きが耳に残っていて、
日本のボロブームはもうだいぶ落ち着いたにも関わらず、
時間差で気になって仕方なくなったbeaten upなアイテム。
どう使ってたんだ?って不思議に思うくらいくったくたのカバン、
20年位しか経ってないのに3倍くらい歳をとってみえる靴、
直しては破れ、また直してはまた破れ、もうキリがない上着。
芸術的なパッチワーク、バランスの良い作為的なダメージではなく、
絵にはならなくても、「ああ、ボロいねえ・・」と微笑ましく思えるような、
一切やらせのない、半端でリアルなボロをごく少数ですが展開します。
それに加え、discolour。褪色、変色、色を汚すなんて意味ですが、
sun-kissedっていう、これまた現地で耳にしたポジティブな表現に惹かれ、
そんな服たちも今回少し集めてみました(どちらかというとこっちが多い)。
普段のラインナップに1点2点差し込むと目立ってしまって、
なんかシャツのシミのように見えてしまうのが悩みだったんですが、
なら全部それで揃えたらどうなるか、今回ちょっと試してみます。
1930'sのイギリスのコート。
芸術性はありません。バランスも悪いです。すごくリアルなボロ。
破れもほつれもボタンの欠損も全部ありのままに。
3日前に洗濯したんですが、昨日の時点でまだ乾いてません笑。
インターナショナル。sun kissedな一着。
日に焼けてるけどダメージはないというのがポイントです。
洗ってワックスが抜けた、サラサラな状態です。
フレンチはやらないと豪語しながら、ポリシーを易々と曲げられた一着。
パジャマとチャイナジャケットが一緒になったようなデザインですが、
フランネル地のため着心地は前者寄り。なので雰囲気は柔らかいです。
某イベントで酔っぱらいのジイさんから引っぺがしてきました。
GRENFELLのハイキングパーカ。
元々の色との比較を見てください。綿100%だからこその褪色。
まさにprelovedな、愛されていたことが分かる一着。
こちらもGRENFELL。CORDINGSオーダーのものです。
元々は濃いタンが、洗いすぎてグレーに変色してきています。
衿裏もなかなか堂に入った変色っぷりです。
イギリスの古いドリルコート。
茶色っぽく写ってますが、よくあるカーキドリルではなく、
オリーブグリーンのありそうでないカラーウェイ。
でもこれもヤケすぎ、洗いすぎでその面影も消えそうな状態。
1940'sのイギリスのフランネルパジャマ。
やたら丈は短いし、ボタンも全部違うし、いくら人前に出なくても
よくここまで着たなあと思いますが、それはそういう時代だったから。
モノを大事に使う、それが徹底されていた時代だったことが分かる一着。
1938年に仕立てられたビスポークブレザー。
一見きれいに見えますが、古いウールならではの
虫食いという宿命を逃れられなかった一着。
1960'sのイギリスのレザージャケット。
元々の色合いと経年の色褪せが同居して、
どっちがどっちだかよく分からなくなっています。
一見ガサガサしてそうですが実はぶよんぶよん。
アメリカらしいマウンテンパーカとハンティングジャケットを
掛け合わせたルックスに、イギリスらしいワックスコットン。
ユーティリティクローズのアレンジを得意とする旬なブランドの
1990'sあたりの古い本国企画です。
ここまで着倒されたらデザイナーも嬉しいでしょうね。
全てイギリスの古い鞄。今回の企画のハイライト。
こんだけボロボロでもまだちゃんと鞄として使えるのがすごい。
グレーのギンガムチェックなんてオシャレですね。
靴もこんな感じ。買った時のままです笑。
実はみんな結構若いんですが、この老けっぷり。
色足したり、磨いたりしたら逆に損ねてしまう靴です。
ラストは実物画像ではなくイメージ画像で締めます。
来ていただいて確かめてください。本日もよろしくお願いします。