現BRITISH RAILの前身であるBRITISH RAILWAYS(イギリス国鉄)が、
あのマッキントッシュ社にOEMを依頼して作られたオーバーコートです。
全体的なデザインやゴム引きの硬さや重さ、タグから判断して、
おそらく50年代のものだと思います。
とりあえず4,50年代のゴム引きは硬く、また重いです。
それでも多く作られ、実用されていたのは、水を通さない点では
やはり他の防水素材よりも優れていたからだと思います。
特に外勤の鉄道員は雨や雪にさらされるのが宿命の仕事。
バーバリーでは間違いなく風邪をひいてしまいます。
JRの職員がマッキントッシュを着ると考えたら贅沢な話ですが。
上にはマッキントッシュ社のタグ、下にはケアレーベルが付きます。
ケアレーベルに赤字で書いてあるMACINTOSHES。
上のタグはMACINTOSHなのに、なぜ下は複数形なのか。
実はこの"MACINTOSHES"は、ゴム引きコート全般を指す単語。
総称なので複数形になっているわけです。
なのでこれだけではマッキントッシュ社製かどうかは分かりません。
イギリスではゴム引きのコートや、レインコートを「マッキントッシュ」とか、
「マック(MAC)」という名前で呼ぶことが多いのですが、それはいずれも
MACKINTOSH社の名前に由来します。
「セロテープ」のように、古くから企業名が一般名詞化されているので、
このように総称としてマッキントッシュの名が使われるわけです。
紛らわしいですが、純正を探されている方には大事な情報ですね。
それくらいマッキントッシュはイギリスに深く浸透したメーカーなんですが、
こちらのような古い純正マッキントッシュ製は意外にないのが現状です。
ステンシルのBRはBRITISH RAILWAYS。
CMはCHAS MACINTOSHを示しています。
タグがない場合でもここでメーカー名が分かることもあります。
ほとんど防寒には影響なさそうですが、ウールのライニング。
実用的ではなくても、この配慮はちゃんとしたメーカーが作ったという証明。
BRのゴム引きコートは一般的に黒が多いですが、
カーキブラウンとも違うキャメルブラウンは新鮮です。
デッドストックと言うこともあり、生地はバッキバキに硬く、
ボタンを留めるのですら一苦労です。
そして何よりサイズ感。イギリス人にも負けねえよという、
自他共に認める大男でないと着られません。
せっかくの機会ですが、なかなか厳しい条件付きです笑。
ただ、着られるサイズがあまりないという憂き目に合っている方。
今回ばかりは恵まれた体型に感謝する良い機会かもしれません。