SHIRIN GUILD
イランで生まれ育ち、革命を逃れて海を渡った一人の女性による、
イランのメンズウェア(農民服)を元にデザインされた服。
エスニック、オーバーサイズ、スクウェアパターン。
型通りに言えばそんなイメージで知られる彼女の服は
一見”今”を捉えているように映ります。
ですが、それらは今を踏まえた上で作られた
マーケティングによるデザインではなく、
イランの大衆服をメインルーツとしているにすぎません。
実際、彼女の作る服は、彼女が服作りを始めた約30年前から、
その間市場にどれだけ変化が起きようとほとんど変わっていません。
クラシックでありながら革新的。
ファッションでありながら不変的。
トラディショナルな素材や技術と結びついた服作りの姿勢も
ブランドがはじまって以来ずっと変わりません。
今回の渡英で、デザイナーであるSHIRIN GUILD本人と
20年近くデザインに携わるイギリス人女性、JACKIE UNTHANKの二人に会い、
僕がイタリア・ローマで、初めてここのシャツを手にして以来、
ずっと取り扱うことを思い描いてきたと伝えてきました。
最初は話し好きで明るくて、よく笑う人という印象でしたが、
話を聞く中で、好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、と
はっきり自己主張し、何があっても自分の意志を貫き通す
ぶれない芯を持った人であることも同時に感じました。
ウイメンズウェアをメインにしているにもかかわらず
なぜメンズウェアをベースにデザインしているのか聞いたとき、
「私は男らしい服が好きなのよ」と、ニヤと笑って答えてくれたのも
彼女のキャラクターが少し分かった気がした印象的な瞬間でした。
もうなくなってしまったと思っていたこのブランドが
実はまだ存続していることを今回初めて知りましたが、
数年前からビジネストレードをすべて辞めたため、
今現在取り扱っているショップはないとのことでした。
それでも、彼女の服を着続ける馴染みのお客さんのために
今もほんの僅かだけ作られるそのストックから、
そして後日訪れた、田舎にある小さなアトリエに
行儀よく並んでいたストックの中から、
一つ一つ手に取り、着て確かめ、二人との会話を通して選んだ
ほんの少しのSHIRIN GUILDの服。
SHIRIN、そしてJACKIEの姿勢が変わらない限り、
今後ファッションがどう変化していこうと
作られる服のデザインは変わらないと思いますし、
今年買った服が翌年作られる服に裏切られるような、
いたずらに人を振り回すような服にもなり得ないと思います。
あくまで私感ですが、あの二人は絶対そんなことしないはず。
特別な機会にいいと思うわ、とJACKIEは言っていました。
実際に店頭で見て、手に取り、着てみてください。
そして鏡に映るいつもと違う自分と、
いつもと違う一日を想像してみてください。
今日7/1から新しく展開します。