今日は僕が最も興味のある時代と場所について、自分なりに書いてみたいと思います。
これらは全て、当時あったケンジントンマーケットと、その中にあったショップや
ブランド、ショップスタッフやお客さん達を撮影したものです。
(無許可なので心当たりがありましたらご連絡をいただき次第、すぐ削除します)
実際にその時代のロンドンで生きていないので、事実とは少し異なる部分が
あるかもしれませんが、late 80'sからearly 90'sのハイストリートファッションを
象徴する一つが、このケンジントンマーケットでした。
マーケットとは言っても、屋外でその日限定でストールを並べる一般的な
マーケットとは違い、小さなショップが集まったファッションビルだったよう。
例えるならカムデンマーケットのような感じだと思います。
以前渋谷の店舗に来ていただいた、その時代にロンドンで生活していた
お客様から聞いた話だと、よくここで服を見たり、髪を切ったり、ピアスを開けたり
していたそうなので、ファッションというよりももっと大きな括りで、その頃の
カルチャーが一緒くたに詰まっていた場所だったのかもしれません。
一番最初のジョンソンズはとても有名ですね。
色々写真を見ていくと、ロックやウエスタン、ポップなファッションが多い。
中にはゴシック系や、個人的に一番気になったサファリファッションも。
何度かLeather and Laceで扱っている、Artificial Eyeもケンジントン発。
そして、その対面には、当時のイギリスのファッションを牽引していた
リーディングショップもありました。
小さいけど読めますか?
当時勢いのあった新進のデザイナーズブランドが一挙に集まり、
それぞれの小さなユニットで構成されていたのがこのHyper Hyper。
今でいうセレクトショップです。今でこそ馴染みのあるものですが、
当時はこんなショップは他にはありませんでした。
世界中から人々が集まり、マーケットも含め、この頃のケンジントン
ハイストリートは、間違いなくイギリスのファッションの中心でした。
これがそのアド。
たった一枚の写真ですが、ただ服を着て立っているよりも
ずっと雰囲気が伝わってくるいいアドです。
Hyper Hyperの中の1つのコーナーの写真。
今は亡きShadow of Symphonyというブランドのユニット。
かなり強烈です。テイスト云々ではなく、注目したいのはこの独自性。
時代の流れに媚びる姿勢は微塵も感じない。
今だったら確実にイロモノ扱いですが、この頃は違ったんだ、と思う。
もちろん今やれといっても時代が時代だけに難しいんだろうけど、
自由に表現ができて、それを受け入れる土壌があり、
共感してくれる人達が沢山いた時代だったんだと思います。
先ほどのArtificial Eyeもそうなのですが、パンクだからとか、
そういうのを抜きにして、自由な発想で自由にデザインできた
時代の良さや儚さを、当時生まれては消えていった数多の
ブランド、洋服たちを通して伝えられたら楽しいだろうな、と。
自分のフィルターにかけて、Leather and Laceなりの解釈で。
こちらはlate 80's頃のものでしょうか。
Made in Englandのバイカラーシャツ。
メーカーは不明ですが、ケンジントンマーケットにもあった
ジョンソンズやWESTERN STYLINGなどのように、
アメリカン50'Sやウエスタンのリバイバルを80'Sらしく、
イギリスのフィルターを通してデザインされた一枚。
結果、50'sとも80'sとも言えず、それぞれの時代のアクの強さが
いい意味で出ていないので、パッと見で「50's好きなんだな」とか、
ヘンな先入観を持たれることがなく、ニュートラルに着られます。
やり過ぎていないのにオリジナリティがあるバランスも良い。
そして、こちらはHOPE & GLORYのデザインシャツ。
HOPE & GLORYは、先ほどのHyper Hyperでも取り扱いの
あった、1989年にスタートしたイギリス発のブランドです。
全体的にはコンサバ一辺倒だったメンズファッションに、
カジュアルウェアの新しい風を吹き込んだ、early 90'sの
イギリスのファッションにおいては欠くことのできない存在。
The Faceやi.D.などの雑誌で大きく取り扱われ、あんな薄い
雑誌で見開き2ページ使って大々的に広告を載せたりと、
新しい時代のファッションとして大きな注目、支持を集めました。
これはどことなく、early to mid 90'sのギャルソンシャツとかに
あったようなデザインですね。全体は渋い色合いで、ちょっと
目をひく切替えを入れる。当時は結構よく見られた手法です。
掘り下げれば掘り下げるほど、おもしろい発見があります。
個人的にも最も興味がある時代なので、これからもいろいろ
取り上げられたらと思っています。
次はJOHNSONSとLA ROCKA!について少し書きます。
今日は渋谷の営業日ですが、今のアイテム数だと
なかなか一点一点に自分の気持ちが行き届かないのと、
もっと一点一点にフォーカスしてほしい思いもあり、
並べる洋服の数を減らしたいと思います。
できるだけ沢山見たいという方にとっては辛いですが、
沢山のものを上から下までトータルで万遍なく置くという、
ショップの既成のイメージが重荷になってしまっている
部分が最近あったので、今一度実験の場として、もっと
自由にやることに(適当にやるという意味ではなく汗)
立ち返ってみたいと思います。
ワーク、ミリタリー、バブアー、バーバリーなどのクラシック、
デザイナーズや現行品など近年物中心のコンテンポラリー、
あとはニット、その3ラックで今日はやってみたいと思います。
それではどうぞよろしくお願いします。