昨日の出張報告の続きで、今日はハンドキャリーのアイテムたちを紹介します。
キャリー、バッグをパンパンにしてできるだけ持ち帰ってきましたのでぜひご覧ください。
イギリスのライディングコート。
久しぶりの入荷ですが、ここまで古いものは初めてです。
タグには31/1/27とあるので、1927年にオーダーされたものと分かります。
あのサヴィルローにあったSANDON & Coというテーラーで仕立てられた一枚。
ブラックかレッドの分厚いメルトンウールを使用したものが、ライディングコートでは
大多数を占めますが、こちらはごま塩風の、比較的柔らかいウールです。
今まで触れてきたライディングコートの中でもトップレベルのもの。
苦しい前半戦を支えてくれたスペシャルアイテム。
RAF(イギリス空軍)のコールドウェザーパーカ。
アヴィエーター達が極寒地において着用した、イギリス軍史上において
最も優れたアウターといってもいいと思います。
アメリカ軍でいうN-3B系に該当しますが、なぜか全くみつかりません。
ディーラーさんも、「ミリタリーの歴史の中でもベストのジャケットだ」って
言ってました。着用したときの迫力、存在感も別格。
ブルーグレーのヴェンタイルコットンもイギリスならではですね。
RAFコールドウェザーパーカ、こちらはグリーンです。
いわゆる一般的なアーミーグリーンとは少し異なる、やや黄色味の抜けた
深みのある色合い。ヴェンタイルコットンが更にその美しさを引き立てています。
分厚いセパレートライニングが内側に配されているので、防寒性も抜群。
言うまでもなく、イギリス軍最強のアウターです。
RAFのコールドウェザーフライングパーカ、通称MK.1(Mark 1)。
こちらも上2つ同様、極寒地において着用されていたもの。初見の方も多いと思います。
形は似ていますが、カラー、着丈、テールの仕様、またウール1枚地のライニングなど、
色々と異なる点が多いです。生地はヴェンタイルコットン。コンディションも最高。
MK.3は手にしたことはありますが、MK.1は初めてです。
1900年代初頭のものと思われるチェスターフィールドコート。
イギリス東部の街、Norwichのテーラーによる一枚です。
現代のものには決して見られない、この時代にしかない、独特なデザイン。
形の美しさにも驚きましたが、信じられないほどウール地のキメが細かく
滑らかな手触り。古いものにありがちな、仕立てや素材の粗さが一切ない。
ショルダーパッドもなく、肩が落ちる力の抜けたシルエットも旬。
そして、今回最も衝撃的だったのがこちらです。
70年代頃のチャイナジャケット。
信じられないかもしれませんが、イギリス物です。
まず、形はチャイナジャケットというだけあって、
古くからある中国の民族服らしいディティール。
素材は上質なインド綿。
ガーゼのような粗いインド綿とはまた違ったキメの細かい生地。
そしてプリントは日本画。
着物のような極彩色で、花びら1枚とってみても、ただの単色ではなく
濃淡がつけられ、日本画らしい丁寧な仕事がうまく表現されています。
枯葉の色遣いなんてもう・・ 服ではなく絵画作品を見ているようです。
そして、製造はなんとイギリス・・・
イギリス人シェフの手によって料理され、陶器のお皿にのせられた、
インド産の食材を使った創作懐石。例えるならそんな感じでしょうか。
ライニング、パイピング、トグルをブラックで統一した点も、既存の
チャイナジャケットでは有り得ないアイデア。
タグはありませんが、当時のデザイナーズだと思います。
Leather and Laceのラインナップにふさわしい、覇道を究めた一枚。
最近はこういったオリエンタルなデザインのものにも注目しています。
それについてはまた後で書きたいと思います。
今日はこれまで。
クリーニングされていないものもあるので、手入れを済ませてから
順次アップしていきたいと思います。
残りのハンドキャリー分、第2弾はまた明日にでも。それでは失礼します。