British Fabricの2回目。
今回はウェザープルーフコットンです。
ワックスコットンとラバライズ(ゴム引き)コットン。
コンセプトもテクスチャーも全く異なる両者ですが
風雨から身を守るという用途は共通しています。
ワックスの方はバブアーやベルスタッフで、
ゴム引きの方はマッキントッシュで、いずれも
雨の多いイギリスを象徴するような素材として
よく知られ、日本でも広く浸透していますね。
まずはそのワックスから。
ワックスコットンといえばやっぱりBarbourです。
これはDURHAM(ダーラム)というモデル。
ビデイルとかビューフォート、インターナショナルと違い、
あんまり馴染みがないです。イギリス本国でもそれは同じ。
またライトウエイトのワックスコットンを使っているため、
ダメージを負いやすい。どこかしら破れているものばかりで、
今まで仕入れた記憶がありません。
しかもこれは70年代頃のもの。
古い上にタータンライニングもないので、後年のモデルより
耐久性に関しても劣るはずです。よくこのコンディションで
出てきてくれたと褒めたいくらいです。
二重になったヨーク部分が後年よりも広くとられているので、
決して着やすいデザインとは言えないかもしれませんが、
これこそがDURHAMの原型です。
あえて言うならイギリスの古いウインドブレーカー。
イギリスは薄手のアウターとなるとまず化繊が入ってくるので、
自然素材100%で気軽に羽織れる上着ってだけでそそられます。
次はラバライズコットンの方。
DAVID MARSH RAINWEAR。
知名度は低いですが、検索すると結構出てきます。
今もあるかどうかは分かりませんが、1905年から
このジャケットが作られた頃まで、少なくとも80年は
生き残ってきたメーカー。
肝心の素材は薄手で柔らかく、古いゴム引きのような
硬さ、重さ、着づらさは全くなく、劣化もありません。
クオリティは確かなので、もしかしたらマーケティングが
ヘタクソだっただけなのかもしれません。
サイズはかなり大きいですが、コートよりも汎用性が
高いジャケット。ゴム引きコットンのジャケットがない、
っていう隙間をうまく突いていますね。ラグランではなく
セットインにしたところも上手いなあと思います。
過去に例がないのに伝統からは外れない、新しいのに
馴染みやすい、そんな服ってあんまりない気がします。
今週の予告を一つだけ。
古いイギリスのビスポークシューズ。
まったく聞いたこともない名前が入っていますが、
Regent St.とあるので相応のステータスがあったはず。
クラシックなシューズのはずが、注文者が持つ異常な
足型のせいで前衛的なシューズへと変貌しています。
デザイナーの意図ではなく、客の体型によって唯一無二の
デザインが生まれるのもビスポークの面白さですが、これは
その両方でしょう。2人そろってふざけてたとしか思えない。
こんなこと言うのもおかしいですが、履けたら凄いです。
今週はレザーシューズを何足かリリースします。ではまた。