リーファージャケット。
とだけ言われても、すぐ頭に浮かばない人も多いと思います。
ではマッキノーコートと言われたら?
ああ、あれかと、想像がつく人も多少は増えたのでは。
アメリカ軍のあのショールカラーが特徴のコートです。
それでもイマイチピンとこない、という方。
ではPコート、ではどうでしょうか?
たぶんこれでどんなものか伝わると思います。
これで分からない場合はすみません、もう大丈夫です。
リーファージャケット。
上がイギリス軍、下がイタリア軍です。
リーファージャケットは呼び方を換えればPコート。
これらはおそらくですが陸軍のものなので、陸軍のPコート、
アメリカ軍でいうマッキノーコートに該当します。
別名ジープコートなんて呼ばれたりもする防寒具です。
なので服としては実はすごく馴染みのあるものなのですが、
個体として目にする機会が全然ないのは、これらがヨーロッパでは
広く一般に着用されたものではなかったんだと思います。
イギリス軍のものは3年ぶり?くらい。やっと2着目です。
前回のものは実はイギリス人から注文があり、イギリスで買って日本に
持ち帰ってきたものが、また本国に帰還していくという珍しいケースでした。
決して安くはなかったんですが、「ずっと探してたんだ!」と
笑顔の着用画像まで送ってくれるほど喜んでくれたことを考えると、
イギリスに住んでいても見つけるのは大変なんだと思います。
分かる人はすぐ分かると思いますが、これはアメリカ軍のM43、
マッキノーコートの最終型とそっくりなデザイン。
コットン×ウールのセパレートライニングまでそのまんまです。
てっきりそのデザインを採用したのかと思いきや、
イギリス軍のリーファージャケットはM43の誕生以前からあります。
偶然同じデザインになることはあり得ないので、最終型に限っては
アメリカ軍がイギリス軍のデザインを採用したのかもしれません。
見ての通りイギリス軍だけあって、とにかく防寒性重視の作り。
袖の内側までフランネルウール。なので見た目より結構ずっしりです。
なぜアメリカ軍であれほど重宝されていたマッキノーコートが
イギリスでは人気がなかったのか。今度イギリスで聞いてきます。
イタリア軍のリーファージャケットはもちろん初めて。
大好きな街、ローマで手に入れました。
見たことはありませんでしたがデザインでピンときたので、
「Italian military?」と聞くと、店主が「Si」と。
先の通りデザインベースは同じですが、例えミリタリーウェアでも
イギリスとイタリアのテーラーウェアにそれぞれ特徴があるように、
これにもすごくイタリアらしさが詰まっています。
まずライニングが付いていません。イタリアは温暖な国なので、
イギリス軍のように分厚いウールなどはあまり必要がないわけです。
なので、見た目はボリュームがありますが、全然重たくありません。
その分、ベルトやバックプリーツ、肩の補強レザーはイタリア軍ならでは。
機能面に重点を置き、すごくよく考えられて作られていることが分かります。
また、機能面というよりは服としての美しさを重視したようなデザインも。
内側補強の曲線、縫い合わせ部分のパイピング処理など、テーラーウェアに
見られる作りをミリタリーウェアにも採用するという、これもすごくイタリアらしい
国民性とか技術とかが反映されているわけです。
イギリスとイタリア、それぞれのリーファージャケット。
読む前よりはどんなものか伝わったでしょうか?
例え同じPコート、マッキノーコートでも、どうせ着るなら
人と違うもの、誰も着ていないものを着たいという方に。