バーバリーのシングルレインマック。
今さら紹介しなくてももう知ってるよ、という人も多いと思います。
が、
一見その辺にありそうでも、実はちょっと違う点が2つあります。
その違いを知ることで、これが全く違ったものに見えてくるはずです。
イギリスのブランドであることは誰もが知るところですが、
バーバリーのコートはイタリアでもたくさん見ます。
わざわざイタリアに行ってまでイギリスの服を仕入れるなんて、と
最初はバカらしくて、あってもサラッと流す程度でした。
そしてどこも高い。イギリス現地でも高いのに、それを
わざわざイタリアまで持ってきてるんだからそりゃ高いはず。
でもよく見てください。
バーバリーのタグの下に、
MADE EXPRESSLY FOR CENCI ROMA
という織りネームが付いています。
これはバーバリーが、ローマのメンズショップ、
DAVIDE CENCIのために仕立てた一着。
ちなみにEXPRESSLYは、特別に、という意味です。
こちらはおそらく1970-80'sのものですが、
DAVIDE CENCIは今もある超高級ブティックです。
つまり中古品をイギリスから仕入れたのではなく、
最初から新品としてイタリアで売られていたものということ。
イギリス本国と同じように、バーバリーのマックコートは
昔からイタリアのメンズ達にも愛されていたわけです。
そしてもう一つ。
ヴィンテージバーバリーのマック、トレンチコートで
今最も主流なのが51%コットン/49%ポリエステルの配分。
僕の経験からだと、100枚あったら95枚はこの生地です。
ながく着込んで、洗いを繰り返しても経年変化が出にくく、
ずっと清潔感を保って着られるので、ビジネスにも向いています。
ですが、こちらはコットン100%。
正確にはコットンギャバジンクロス。
1888年にバーバリー自身が開発、特許を取得し、
「バーバリー」と名付けた生地がこの綿ギャバ地です。
ブランドの名がバーバリーなら、生地の名もバーバリー。
51/49がレインコートの素材として主流になるにつれ、
だんだんと生産数が減少していったと思われます。
なので、51/49よりずっと古くからある素材ですが、
仮にバーバリーのコートが100枚あっても、残念ながら
この綿ギャバ地は1枚もないほど市場に出てきません。
この光沢、深みも着込んで、洗いを繰り返していくと
風合いが変わり、色が落ち、シワも増えていきます。
市場に出てこないのは、生産数が減少しただけでなく、
単純に傷みやすい生地だからという理由もあると思います。
51/49のように、いつまでも変わらないことが魅力なら、
この素材のように、常に変わっていくことも1つの魅力。
バーバリーの原点とも言えるコットンギャバ地を使った、
イタリアでしか手に入らないバーバリーのレインコート。
サイズ、コンディションはパーフェクトです。
一見何でもないようでいて、実はすごく特別な一着。