僕が初めて仕入れたビデイルの話でも、初めて着たビデイルの話でもなく、
一番最初に作られたビデイル、という文字通りの内容です。
細かい話ですが、興味のある方だけに。
ビデイルがリリースされたのは1980年です。
代表的なモデルの中では結構新しい方ですね。
その後、1982年にはタグにもう一つ王冠が加わるので、
こちらはそのせいぜい2年程度の短い期間に作られた
言うならファーストモデルということになります。
細かい仕様の違いはもちろんいくつかありますが、
基本的なデザインはそれ以降のビデイルと変わりません。
ただ、例えばmid 80'sのビデイルと比較してみると、
コットンがより薄く、軽量に感じます。ただ、感じる程度です。
コンディションとワックスのノリを比べてみれば
これがリプルーフされていることが分かるのですが、
とにかく仕事が丁寧。まったくワックスに厚い薄いのムラがない。
普通個人でリプルーフしたものは厚い部分がテカテカ光ったり、
ワックスの厚みで硬くなった部分のシワがやたら白くなったりと、
見た瞬間パスするようなひどい仕上がりのものが多いので、
もしかしたらバブアーに依頼したのかもしれません。
サイズは32。
普通に考えたら、女性が着用していたはずです。
そのためか、ある程度の着用感があるにも関わらず、
これくらいのコンディションには本当に多い、擦り切れ、
黒ずみや汚れ、負担がかかる部分の裂けなどがありません。
女性に大事にされていた、ってポイント高いですよね。
フードも付いてます。
一切表記のないところから、同時期のものと思われます。
別売りだったはずですが、一緒に買ったのかもしれません。
当時はBARBOURの刻印が入ったポッパーではなく、
エナメルのカバーが付いた無地のものが使われていました。
こちらは着用と経年で所々グリーンのエナメルが剥がれて、
グリーンとゴールドのポッパーが混在しています。
これも一つの経年変化。
そう考えると、かわいいデザインのように見えてきます。
刻印のポッパーじゃこうはなりませんからね。(強がり)
余談ですが、ライニングの下半分がナイロン製である理由は、
全てタータンにすると、濡れた馬の水分が裾から染みてきて
内側に入ってきてしまうので、それを防ぐためだそうです。
もちろんお値段には希少性が加味されています。
(買った時点から加味されていましたけど)
ファーストモデルとかに関係なく、32なんてまず出会えないですし。
ただ、それだけではなく、注がれた愛情とかけられてきた手間が、
こんなにもダイレクトに伝わってくる一着もそうそう出会えません。
取り外し可能なフードを35年間も取っておく。それだけでもすごい。
「雰囲気」と「コンディション」という、2つの反発しがちな要素が
共存できているのは、その愛情と手間が手懐けてきた賜物です。
歴史と愛情を受け継いでくれる方に。
って、ちょっと重いか・・。
P.S. TSKくん紹介ありがとうございます!バシバシリンク貼ってください笑