少し間が空きましたが、赤シリーズの最後です。
グレンフェルの登山用ロングスモックパーカ。
ご覧の通り、タウンユースの要素は一切ありません。
アウトドアウェア専門のメーカーなので当たり前のように思えますが、
ヴィンテージグレンフェルに通じる方なら分かるように、市場で目にする
グレンフェルのほとんどは、少なからず”街”を意識したデザインです。
アウトドアというよりはカントリーウェアといった方がしっくりくるような。
画像の人物は、ニュージーランドの登山家、エドモンド・ヒラリーと
チベット人のシェルパ、テンジン・ノルゲイ。
1953年5月29日、人類初のエベレスト登頂を成功させた二人です。
彼らが被るスモックに共通するのは、とにかく大きく、また長い形。
中にダウンを着られるくらい大きなサイズ感。
少なくとも60's以降のスモックには見られない形です。
当時、死と隣り合わせだったエベレストへのアタックにおいて
着用されたものと共通点の多いデザインは、これが本格的な
登山用として作られたスモックであることを物語っています。
キズや汚れの一つ一つは、これを着ていた無名のクライマーが
高山に幾度となくアタックをかましてきたという証明です。
天気の良い休日に高尾山を登頂してもこうはならないでしょう。
背景に広がるストーリーがドラマチックであれば、それだけでも
ヴィンテージウェアとしての価値があるのではと思います。