一昨日NHKで、京都の料亭の番組を見ました。
代替わりについての話がメインでしたが、
料理や厨房、お店の内外観、どれもがすごく質素なんですね。
料理は季節感や色彩があるので、地味ではないんですが、
切って盛り付ける、茹でて和える、そういった何気ないのが多い。
献立を話し合うシーンや、休憩に抹茶を立てて飲むシーン、
ただ魚を切るという親の仕事を息子がじっと見つめるシーン。
静かで飾らない料理、作業、話し方、気遣い・・・
質素なものの中にある美しさ。
華やかさを出すよりずっと難しく、奥深いものに見えました。
手の届かない大人の世界に憧れるような感覚をおぼえました。
楽しかったです。テレビ捨てようと思ってるのに・・。
ということで、今日はイタリアのブレザーです。
丈夫なリネン地の一枚仕立て。
アイボリーカラーが全体を柔らかい雰囲気に。
一言でいうと、イタリア物は色気と遊び心があります。
身体のラインに沿ったシルエットで、全てパッチポケット。
装飾とか派手さはないものの、改めて何がと言うまでもなく、
ビジネスウェアとははっきりとした違いがあります。
丁寧なパイピング処理。糸一本飛び出していません。
奇をてらったデザインではなく、素材やシルエットの良さで目をひく。
これも質素な中の美しさ、と言ってもいいかなと思います。
自前ではないですが、ジャケットの画像を一枚。
たぶんファッションショーを見にきた人のスナップです。
明るい雰囲気なので質素とはまた少し違いますけど、
少なくとも華美な装飾とかデザインはありません。
でも、色と素材だけで季節感が伝わってくるし、
大ぶりの時計や四角のまま突っ込んだチーフなどの演出で
何でもないジャケットが活き活きとして見えます。
ずっと変わらないヴィンテージウェアのスタンダード、
たとえばデニムのジャケットやカバーオールなんかは、
流行り廃りなく着られる反面、時として退屈に感じることも。
少なくとも、この色と素材をこの季節、この機会に着る、
といったような刹那的な楽しさはありません。
だからこそこういった色や素材に気を遣った、
季節やTPOを意識したようなスタイルには色気を感じるし
(Tシャツ・短パンのような必然的な季節感ではなく)、
さりげなくあればあるほど、何か大人のための
奥深い楽しみのように思えて、わくわくするんですね。
言葉にするのに、すごく時間がかかってしまいました。
僕自身もまだ知らない部分の多い、スーツやブレザーなどの
テーラードウェアをいろんな角度から見て、勉強して、
それを伝えながら一緒に楽しんでいけたらと思っています。
では本日のお知らせを少し。
イタリア、リネンのスーツ。
イタリア物以外あり得ないシルエット。小柄な方向け。
イギリス、AERTEXクロスのシャツ。
綿です。厚いのに暑くない。
50'S LYBROのデニムオーバーオール。デッドストック。
かつてビートルズが広告塔をつとめた、リバプール発のデニムブランド。
フォートナム&メイソン。紅茶じゃありません、ショーツです。
とても古い。ショーツなのにウール。
K SHOESのグラスレザーとGRENSONのネイビーバックスキン。
ホールド感の良いスリッポンです。
では本日もよろしくお願いします。